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人文学部長 高木智見

高木人文学部長

「我々はどこから来て、どこへ行こうとしているのか」、「人類は、何を目的として、いかに生きてきたのか」、「社会はどのように組織され、どう維持されているのか」、「愛とは何か、善とは何か、美とは何か、人はこれらをいかに思索し表現してきたのか」、「そもそも人があやつる言語とは何か」・・・。

これらが人文学部で日常的に論じられていることです。そのようなことは趣味同然で、何の役にも立たず、ヒマ人がやればよい、といった考え方を持つ人がいます。はては、人文系の学問は国立大学に不要だという主張さえなされたことも、記憶に新しい所です。果たして本当にそうなのでしょうか。

確かに、最先端の科学技術は人間生活に様々な恩恵をもたらし、経済学や法律学は現実社会の分析や課題解決に大きな貢献をしています。それに比べ、人間に関する根源的な問いを追求する人文学が、今すぐ直接的に何かの役に立つことはありません。

しかし、現代文明を象徴する先端科学や最新の理論が、真の意味で人類に貢献するのか、その方向に進んで人類の幸福が保証されるのか、それらによって否定・淘汰された古い技術や理論は本当に時代遅れなのか、といったことを考える時、今一度「人間とは何か、人はどう生きるべきか」という古くて新しい問題に立ち戻らざるを得ません。

現在と自己を絶対視するのではなく、過去から未来へと続く一局面として現在を捉え、他者との共存こそが自己を支えている、という立場に立つこと、すなわち常に自らを見つめ、己の不完全や未熟を謙虚に反省すること、要するに他者を見つめる以上に、自己を見つめる目を持つことが求められるのです。

ただし自己を見る目の獲得は、実際には極めて困難なことです。すでに古代中国の韓非子が、どんなに視力が良い人でも、自分自身の睫(まつげ)を見ることは容易ではない、として、「知の難きは人を見るに在らず、自らを見るに在り(知ることの困難は他者を見ることにではなく、自分自身を見ることにある)」と述べています。

ここで強調したいのは、人間に関する根本的懐疑を追求する人文学において、その問いを具体化し、どのように解決するのかということは、先人の知恵と経験を最大限に咀嚼・吸収した上で、学ぶ者自身が自らの力で考えて実行することにかかっている、ということです。それ故、そこでは常に自らをふり返り、自らに問いかけ、自分自身の真の姿を知ろうとする努力、つまりは自らとの絶えざる対話が不可欠です。

人文学とは、自己を見る目を獲得するための学問であり、現代社会において最も必要な学問なのです。あらゆる学問は人文系の学問を根柢に踏まえてこそ、真の学問となるのです。

そのような人文学を学ぶことにより、自らと世界を冷静に見つめる目を備えることができます。また、その目は自ずと、奥深い知性と豊かな人間性を身につけ、現在と未来を力強く生き抜くことを可能にします。人文学部を志望する人は言うまでもありません。他の学部や理系へ進もうと決めている人も、自信をもって自らの選択した道を歩むと同時に、自己を見る目の獲得の重要性を認識し、ぜひ人文学を真剣に学んでください。

山口大学人文学部長 高木 智見

 

 

 

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