言語学分野に進む人のために

言語学分野に進む人のために

言語学分野は、旧言語情報学コースの教員2名(フィリップス、乾)により組織され、ヒトの言語一般に関して興味のある人のための分野です。組織上、仕方なく欧米言語文学コース内に入っていますけれども、日本語や英語、初習外国語(ドイツ語、フランス語、中国語)といった特定の個別言語に固執することなく、もちろんコース名に付いている欧米の言語に限定されることもなく、言語であれば日本の方言でも世界のマイナー言語でも何語を研究対象にしてもかまいません。また1つの言語に絞られることなく、複数の言語を比較したり、世界言語全体を見ながら類型論的な研究をすることもできます。以下は私が担当する授業科目一覧です。

分野入門
分野入門として、以下の3つがあります。特に『言語学概論』は最も基本的な話をしますので、専門に入る3年までに2つとも取っておいてください。

『言語学概論(音韻・形態・統語)』(後期)
言語学の主要分野を概観すると同時に、言語学で使う用語について解説します。この授業では言語学の歴史、音声学(言語音の出し方など)、音韻論(音のしくみ)、形態論(形のしくみ)、統語論(文のしくみ)についてお話しします(1年生から取れます)。

『言語学概論(意味・類型・歴史)』(前期)
言語学の主要分野を概観すると同時に、言語学で使う用語について解説します。この授業では意味論(語の意味、文の意味)、類型論(言語のタイプ分け)、歴史言語学(言語の歴史、系統)についてお話しします。

『言語類型論』(後期)
世界言語の類型的特徴を取り上げながら、言語普遍性について考えていきます。少し専門性が高く、言語学分野の先取り履修的な意味合いがありますので、2年生後期に取るのが望ましいでしょう。

リテラシー科目
言語学分野に進むための専門基礎にあたる授業となります。2年生のうちに、きっちりと分野の基礎を固めてください。

『音声学』(前期)
一般音声学的観点から、ヒトの言語音の出し方、子音・母音の聞き取り、アクセントの記述、音声表記法など、言語研究には欠かせない技術を身につけるための授業です。言語学分野に進む人にとって大切な授業です。

『情報処理(言語情報)』(後期)
TeX(テフあるいはテック)を使って様々な言語の文字入力や論文作成法を学ぶ授業です。パソコンの得意な人だけでなく苦手な人であっても、慣れればワードを使った論文作成よりはるかに効率よく論理的にレポート・論文が書けるようになります。言語学分野で卒業論文を書く時の必須アイテムとなります。授業では毎回過去の卒論をテーマにみんなで楽しくディスカッションします。

『言語と人間』(前期)
世界にはたくさんの言語があります。個々に興味を持った言語を調べて発表することを通して、言語の多様性を理解する授業です。一つの言語を音韻、形態、統語、意味、文字などをトータルに把握することで、言語研究で最も大切なバランス感覚を身につけることができるようになります。

『言語構造と精神世界』(後期)
言語を通して、人間の精神構造を探ります。私が担当するのは、言語学的観点から、空間や時間、ものや動作をどのように把握して形式化しているか、文法形式や語彙が人間の思考にどのような影響を与えているかを、世界言語を類型化する中で読み解いていきます。