マンガの話その2『ドンケツ』

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

以前書いたように、マンガが好きなので、またマンガの紹介をしようと思います。

今日ご紹介するのは『ドンケツ』です。

これは、『ヤングキング』にちょっと前まで連載されていたマンガで、北九州のヤクザマンガです。主人公は、腕っぷしはやたら強いけれど(おそらく日本最強レベル)、金稼ぎやらは全くダメで、したがって今のヤクザ世界では畏怖+軽蔑のまなざしで見られるような中年ヤクザです。ただし親分には――表向き悪態をつきながら――しっかり忠誠を誓っていたりして、ヤクザとしての規範はしっかり持ってる主人公だったりもします。

ヤクザマンガってジャンルがあるのかどうかもそもそも分からないですし――とは言え有名どころだと『代紋TAKE2』とかありますし、まあ1つのジャンルとして成立してるんでしょう――、「ヤクザマンガのテーマって何なのか」と思われる方も多いかとは思うのですが。『ドンケツ』の場合は、関西から進出してきた他ヤクザ組織との抗争や、関東から流れてきた「半グレ」を追い出す話やらを通して、ヤクザが理想とする親分―子分関係/兄弟分関係や、「たとえ損をしても筋を通す」といったような規範みたいなのをしっかり描いていく感じで、そういう縦社会的な人情噺が好きな人だったらきっとたまらないマンガなのではないかと思います。僕の場合も、もともと「仁義なき戦い」だとかヤクザ映画が好きだったりしましたし、実録系の話も実は結構好きだったりしますし、研究的にも僕が専門の1つにしている社会病理学系の分野ではヤクザ研究をしておられる方――たとえば『ヤクザの幹部をやめて、うどん店はじめました』等を書かれておられる廣末登先生は、面白い上に読みやすい本をいくつか書いておられます――もいらっしゃったりして、自分は研究テーマにしないものの興味は結構しっかり持っているので、たまらない感じでした。

主人公も含めて個々の登場人物にスポットを当てた外伝も出ていたりしますので、ヤクザ世界が好きな方にはお勧めです。ちなみに、北九州が舞台になっているマンガで、確か作者も北九州出身の方なので、リアルな北九州弁や北九州の風景が出てきたり、時には山口県内のスポット(美東のSAだとか)も出てきたりします。なのでその辺でも楽しみながら読めるのではないかと思います。