小林 宏至

人文学部人文学科 社会学コース 民俗学・文化人類学 小林 宏至 KOBAYASHI Hiroshi

「圧倒的な他者との遭遇」を通して人間とは何かを考えることを続けよう。

小林 宏至

分野 文化人類学・社会人類学
担当授業
(学部)
民俗学・文化人類学概論
民俗学・文化人類学調査実習(企画と実施)
民俗学・文化人類学調査実習(分析と報告)
民俗学・文化人類学基礎演習(現代民族論)
民俗学・文化人類学発展演習(現代民族論)
民俗学・文化人類学卒論基礎演習(現代民族論)
民俗学・文化人類学卒論発展演習(現代民族論)
担当授業
(研究科)
社会生活伝承論(社会生活伝承)
現代社会分析論演習(社会生活伝承研究)

主な研究内容

わたしの専門は文化人類学で、主に中国福建省の客家と呼ばれる人々を対象に、彼らの民間建築や親族組織などを研究しています。「文化」というと非常に漠然とした印象を持つかもしれませんが、かつて中国社会はその漠然としたものを破壊しようとした時代がありました。文化大革命です。しかしそのような時代においても親族という社会集団は強固に残り続けました。個々人の名前、寝食する場所、日々の何でもない行動が親族的なつながりを再生産し続けたからです。もちろん戸籍、法律、制度などは家族・親族を定義づける上で重要な要素でしょう。しかし文化人類学は日々の何でもない営みこそが、社会集団を社会集団足らしめていると考えます。それが「文化」人類学という学問が得意とする部分です。ミクロな視点からマクロな問題を考えていきます。

学問のことなど

およそ研究や学問などというと、まず仮説をたて、それを検証するために分析・考察し、結論を導くというのが一般的でしょう。この点に関してわたしは一切の異論もございません。しかし文化人類学という研究分野においては、研究仲間がこのような方法で成果発表をすると、「すごくわかりやすいんだけど、なんかつまらないね!」と言われかねません。なぜでしょう?それは一方で多くの文化人類学者がひねくれているからでしょうが、他方で文化人類学者にとって研究(調査)対象は、物言わぬ客体ではないからです。対象がヒトであれモノであれ、文化人類学者はそれらから仮説を破壊されにフィールドへ出かけ、フィールドで仮説を組み立てなおします。このような経緯を発表すると研究仲間から「なんかよくわからないけど、おもしろいね!」と言われたりします。不思議な研究分野です。
文化人類学の主要な現場はフィールド(調査地)ですが、現場では常に調査や観察を行っているわけではありません。約束をすっぽかされ、野良仕事を手伝い、赤ん坊をあやすなかで現地の人々の信頼を獲得し、やっと仮説を壊す段階に入ります。「止めどもなく平凡に流れ去るあのフィールドの長い午後と、あまりにも分厚く冗長な民族誌の山を原点として出発し、少しずつ匍匐前進するための学問」を一緒にやっていきましょう。

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