「学問という異文化に出会う」(2026年度異文化交流研究施設活動レポート①)

2026年度異文化交流研究施設活動レポート①

人文学部で出会う異文化:異文化の交流と研究

「学問という異文化に出会う」

現在,人文学部には5つのコースの下,20近い学問分野が存在する(詳しくはHP参照)。それぞれの学問分野には,長い歴史の中で培われてきた独自の研究文化がある。どのような問いを立てるのか,どのような資料を用いるのか,何を根拠として議論を組み立てるのか。同じ人文学部の中にあっても,その作法は大きく異なる。様々な学術的異文化がひしめき合っているのが,人文学部なのである。

人文学部に入学すると,学生は2年生の夏の終わり頃までに,この多様な学問分野の中から,自分の専門を選択することになる。それぞれの学問分野は独特の学問文化があるため,自分との相性を見極めることも重要な作業となる。入学前から学びたい分野を決めている人もいるだろう。しかし,高校生が知っている(想像できる)学問の世界には限界がある。実際,私は理論言語学(統語論)を専門としているが,大学に入るまで,このような学問がこの世に存在することすら知らなかった。

学生は入学後,分野入門科目などを通じて,多様な学問文化(入門編ではあるが)を実際に体験する。哲学,歴史学,社会学,文学,言語学など,それぞれの授業に実際に触れることで,「同じ現象でも分野によって問いの立て方やアプローチがこれほど違うのか」と驚くことも少なくない。そして,その違いを経験しながら,自分の知的好奇心が最もかき立てられる分野を見つけていくのである。

異文化というと外国の文化を思い浮かべる人が多いかもしれない。しかし,人文学部ではまず学問そのものの異文化に出会う。自分とは異なる考え方や価値観に触れ,それらを理解しながら,自らの立場や居場所を形づくっていく。社会に出れば,多様な価値観の中で他者と協働し,自ら判断を下していかなければならない。人文学部で経験する学問文化との出会いと選択は,そのための貴重な訓練でもある。人文学部は,知識を学ぶ場であると同時に,多様性の中で考え,「自らの道」を見つける力を育てる場所なのである。

上田由紀子