スイスのチューリツヒ工科大学元教授のエルマール・ホーレンシュタイン教授の講演会  報告

異文化交流研究施設では平成22年1月29日(金)にスイスのチューリツヒ工科大学元教授のエルマール・ホーレンシュタイン氏の講演会を開催しました。演題は『ヨーロッパ哲学者の誕生 − 哲学の世界地図の由縁について』でした。内容は、世界各地の哲学・思想の発祥地や思想のマッピング、すなわち哲学の地理学でした。スライドを使いながら、世界における思想の関連性が拳示されました。講演は天気予報の話から始まりました。スイスを例にとって、一国の予報天気図が示されました。隣国や大陸、あるいは太平洋との関係を度外視して、天気を一国に限って紹介するか、それともより広い範囲をも含めて紹介するかによって、気候の考え方が大きく変わります。思想史においては従来、限られた地域、つまり中央ヨーロッパのみを視野に入れて、西欧の思想が考えられてきました。しかし哲学の地図をアフリカやアジア大陸にまで拡大して見てみますと、思想の流れや影響力、または概念の起源がはるかに広い範囲に渡ることが分ります。中世ヨーロッパの限られた哲学地図が現代まで有力であることも明らかになりましたが、西洋思想と思われている哲学に全世界からの普遍的な観念や課題が含まれていることも分かりました。グローバル化の時代と呼ばれる今日、古来からのグローバルな思想に注目すべきであるという結論が説得力を持つ講演でした。

訂正:不手際により、第19回の講演会は第20回の講演会として紹介され、順番に空きができてしまいましたので19回目の講演会に変更させていただきます。お詫びを申し上げます。

ホーレンシュタイン先生

ホーレンシュタイン先生

地図の前、哲学史を遡る

地図の前、哲学史を遡る

聴衆が聞き澄ます

熱心に聞く参加者

ディスカッション その2

ディスカッション その2

ディスカッション その1

ディスカッション その1

通訳とのバトンタッチ

通訳とのバトンタッチ