人文学部人文学科 欧米言語文学コース 英語学 岩部 浩三 IWABE Kozo
最小限の労力で卒業する? 最大限努力できるものを見つけよう。
分野 | 英語学 |
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担当授業 (学部) |
英語学概説(文法と意味) 英語史 英語学特殊講義(意味論) 英語学講読(意味論) 英語学演習(意味論) 英語学卒論基礎演習 英語学卒論発展演習 |
担当授業 (研究科) |
英米語論(意味論) 英米語論演習(意味論) 英米語論演習(語用論) |
主な研究内容
例文(1)(2)は,犬やテーブルの一般的な性質を述べています。
(1) Dogs have four legs.
(2) Tables have four legs.
テーブルには4本脚のものが多いでしょうが,必ずしもそうとは限りません。しかし,けがなどの理由で4本脚でない犬もいます。例外はあっても,大半の個体が4本脚であると言えるので(1)(2)は成り立ちます。ところが,単数形にした場合,犬は良いけれどもテーブルはだめです。
(3) A dog has four legs.
(4) #A table has four legs.
犬が4本脚であるのには必然性があるのに対し,テーブルはそうではありません。したがって,一匹の犬を手がかりにそれを犬全体に広げることはできるけれども,テーブルの場合それができません。どうですか? 簡単な英語ですが,深い違いがあります。こんな違いを理論的にすっきり説明することも英語学の仕事です。
学問のことなど
ー英語の発音がわかりにくいことについてー
英語を習い始めた時に誰もが感じるのは、文字を見てもその発音がわかりにくいことです。表音文字であるアルファベットを使っているのに、なんということでしょう。
a,e,i,o,uという文字は、ほぼア・エ・イ・オ・ウという発音に対応していますが、それは短い母音の場合だけです。問題は長母音の場合で、そのまま長くしてアー・エー・イー・オー・ウーとはなりません。英語ではaとiの長母音は、後ろにeが来た時だということは知っていますね。また、e,o,uの長母音は文字を重ねて表します。ただしuuは手書きで書くとwやmなどと判別しにくいのでフランス語と同様ouと書くことになっていました。それでは、date, feel, kite, shoot, foulという単語の母音だけ順に取り出して見ましょう。その下に、昔の発音(実はつづり字通りだった)を並べてみました。変化がわかりやすいように一つずつずらしてみました。
今の発音 | ==> | a (エー) | ee (イー) | i (アイ) | ==> | oo (ウー) | ou (アウ) |
昔の発音 | a (アー) | ee (エー) | i (イー) | oo (オー) | ou (ウー) |
あれ? 縦に見るとエー・イー・ウーが重なっていますね。これは要するに、昔の発音が、口を一段階閉じる方向に変化して、今の発音になったということを示しています。アーがエー、エーがイー、オーがウーです。昔のイーとウーは元々限界まで口が閉じているので、それ以上閉じようと思ってもできません。仕方がないので、一旦口を開けてはずみをつけて口を閉じています。それでイーはアイ、ウーはアウとなりました。
このような事情を中学校のころから知っていたら、英語嫌いから立ち直るのがずっと早かったのに、と思うのですが、中学生に教えようと思っても難しいですね。また、高校生でこれだけを読んで理解できた人は素晴らしいと思います。わかりにくかった人も人文学部の英語史の時間でしっかり勉強できます。