滝野 正二郎

人文学部人文学科 歴史学コース 東洋史 滝野 正二郎 TAKINO Shojiro

中国近世社会の像を当時の史料に基づいて構築してみませんか。

滝野 正二郎

分野 中国明清時代交通史・社会経済史
担当授業
(学部)
東洋史概説
東洋史入門
東洋史特殊講義(近世・近代)
東洋史史料基礎講読(近世・近代)
東洋史史料発展講読(近世・近代)
東洋史実習
東洋史基礎演習
東洋史発展演習
東洋史卒論基礎演習
東洋史卒論発展演習
担当授業
(研究科)
中国歴史論
中国歴史論演習(政治)
中国歴史論演習(社会)

主な研究内容

15世紀から19世紀初頭の中国社会における物資や人の動きについて、大運河や長江などの交通路に設置された税関に視点をおいて研究しています。また、その研究に行政文書を多く使用する関連で、四川省の一つの県の行政文書を用いる定期市の研究も最近始めました。東洋史特殊講義という授業では、それらの研究の成果を中心に講義を行い、東洋史概論では、14世紀後半から20世紀初頭にいたる明清時代史の概説を行っています。東洋史史料講読では17世紀の下級知識人の随筆を、東洋史演習では皇帝と地方官の間で交わされた18世紀の行政文書を学生諸君と一緒に読み、史料読解の訓練をするとともに当時の社会を再構成しようと試みています。

学問のことなど

ー『大地』の大地ー
小学6年生のとき、ニクソン訪中に始まるいわゆる「第一次中国ブーム」の時代、アメリカ人の作家パール・バックが書いた小説『大地』三部作を読んだ。この小説は、中国育ちで英語よりも先に中国語を話したといわれる著者が、安徽省北部生まれの農民王龍(ワンロン)からその孫王淵(ワンユアン)にいたる一家の変転を描いた年代記的小説である。奴隷出身の妻、飢饉の時の子殺しや南の大都市へ逃げる話、匪賊や軍閥の跋扈、知識人として育った王淵が自らのルーツと立脚点に悩む話など、それまで、『西遊記』や『水滸伝』を冒険小説として好み読んできた少年の私には、大きな岩がドーンとのしかかってきたような鈍く重い衝撃があった。現在、中国明清時代の社会経済史を研究している原点の一つとして、この鈍く重い衝撃がある。
1995年の夏、学会で、この安徽省北部鳳陽の地を訪れた。そこにあったのは華中とは思えない乾燥した空気と砂塵の舞う風景だった。私の育った西日本とは全く異なる「殺伐とした」風土、これに「北の大河」――すなわち淮河――の水害が加わって、『大地』の「大地」は形成されていたのだな、とそのとき体感した。

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