ジュマリ・アラム

人文学部人文学科 哲学コース 宗教学 ジュマリ・アラム Djumali ALAM

コロナ渦の中、オンライン授業やZoomという語が定着しましたが、私は最近Vチューバーに凝っています。キャラクターを実体化する活動(キャラ活)の研究の一環として、授業でもVチューバーに関する課題を取り入れるようにしています。

ジュマリ・アラム

分野 宗教学、宗教社会学、宗教心理学 ←【左記の研究分野を専門としていますが、最近事例として取り上げるのは「キャラクターを実体化する活動(キャラ活)」についてです】
担当授業
(学部)
哲学概論
宗教学概論
宗教学特殊講義
宗教学講読(現代日本)
宗教学講読(世界の宗教)
宗教学演習
宗教学実習
宗教学演習(現代日本)
宗教学実習(現代日本)
宗教学卒論基礎演習
宗教学卒論発展演習
担当授業
(研究科)
宗教思想論
宗教思想論演習(理論)
宗教思想論演習(応用)

主な研究内容

私は宗教学を専門としています。現在、関心があるのは、「アニメ・漫画・ゲームをはじめとするキャラクターを実体化する活動(キャラ活)」に見る宗教性」というテーマです。このテーマからもわかるように、宗教学の対象は特定の宗教組織や教典にとどまらず、日常のあらゆる活動を通して人々がどのように精神世界を豊かにしたり、生活のなかで非日常的な経験をしたり、自己の内面を表現したりしているのかということを探究します。これはサブカルチャーの世界はもとより、スポーツ、芸能、趣味の世界にも通じる、すべての人にとって関係のある生活領域です。
キャラ活自体が「宗教」であるとは言い切れませんが、そこに「宗教的な原理(=宗教性/スピリチュアリティ)」が働いていることは、疑いの余地がありません。どういう原理かと言うと、たとえばキャラクターを通して「現実」と「理想」を結びつけようとするファンの意気込みです(宗教学では、前者を「日常/俗」、後者を「非日常/聖」と呼ぶ)。仏教やキリスト教といった世界宗教において、人々が預言者・教祖・聖人たちを偶像化し、個々の人生の模範・指針とみなすのと同じ原理です。
人はなぜキャラ活を行うのか。本当の自分や個性をもっていないからでしょうか。たいていの場合は、そうではないように思えます。キャラ活は「自分探し」の一環ですが、ファンは、原作のキャラに成り切ったり真似したりしているというよりも、それらをヒントまたは雛形として、みずからの内面に秘められている人格性・個性・可能性を発見し、引き出して開発しようとしているのではないでしょうか。

学問のことなど

山口大学の宗教学研究室は現在、人文学部の哲学・思想コースの中にあり、毎年、3年次の学生数人が、この研究分野を専攻し、その成果を4年次の終わりに卒業論文として書きまとめます。私自身の研究関心もそうであるように、学生にも、単に文献から宗教的事象を読み取ろうとするのではなく、自らの日常の活動や経験から、現代日本の精神世界に関する様々な働きや傾向性を見つけて分析するようにと、勧めています。それと関連し、私の授業は、生活の実態を視覚的・印象的に映し出す映像資料を用いることがよくあります。また3年生向けに、「宗教学実習」という授業を設けていますが、月に1・2回、上記のキャラ活に関することや、ありのままの自然界と動植物の世界を見学・観察したり参加したり直接経験したりするという実習です。宗教学は、基本的には、また究極的には、教えたり教わったりする学問ではなく、自らが発見する「人間の生」の根本的な原理であると、と私は思うのです。

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