教員著書刊行情報

日本語学・日本文学コース担当 平野芳信教授の著書が中国語訳で刊行されました。

平野芳信著/陳系美訳
從蝸牛食堂到挪威的森林:解讀日本近現代文學中的飲食象徵 2014年7月

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装丁が美しいのでジャケットを見開きで掲載します。(↑)
そしてジャケットの下の表紙は(↓)
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モニタ上では分かりにくとは思いますが,ゴールドの階調表現となっており,ジャケットデザインとはまた一味違って美しいです。

<書籍データ>
* 単行本(ソフトカバー): 186ページ
* 出版社: 遠足文化(2014/07/02)
* 言語: 中国語(繁体字)
* ISBN: 9789865787400

<著者からひとこと>
 本書は昨年(2013年2月)に光文社新書として上梓した『食べる日本近現代文学史』の中国語訳です。今回初めて知ったのですが、中国語訳といっても繁体字と簡体字があるようです。詳しいことはよくわかりませんが、どうやら中華人民共和国(大陸)では主として簡体字を使用し、中華民国(台湾)では主に繁体字を使っているようです。
 拙著は中華民国の読書共和国グループに属する遠足文化という出版社から刊行されました。それゆえ、繁体字版です。繁体字というのは、基本的に我々が使っている漢字に近い書体(要するに画数の多い)ですので、出版社から送付されてきた現物を見るとかなり内容が読み取れます。
 なぜこんなことを記するのかというと、実は2011年に出版した『村上春樹 人と文学』が2012年に韓国語に翻訳された経験があるからです。
 この時、自身が書いたものが自分では読めない言語に変換されるという摩訶不思議な現象に遭遇しました。とにかく、かろうじて「平野芳信」という文字が読みとれるので自著だということが確認できたにすぎないのです。それはそれで極めて興味深いものですが、もう一方では、いささか心もとない体験でもありました。今回はその点では、かなりの程度判読(?)できますので、ストレスは多少とも軽減されているのです。

 まだこのホームページでも閲覧可能だと思いますが、先に日本語版(?)が出た際に、喜びと同時に晒されているという感覚にもとらわれていると書いたと思います。
 この感覚は、中国語版が出ることでより一層強くなっています。発売後、一月も経っていませんが、既にネット上には書評が出ているようです。私も恐る恐る見て(読めませんので)みましたが、批評子はネットで作者である私の写真をみたようで、なんだかそのことを枕にして書き始めていました。
 作者としては、書かれたものだけで判断してほしいと思うわけですが、これが致し方のない現実なのです。加えて、批評の詳細については一向に理解できません。まさに「晒されている」ということの最たるものだと思います。
 もし、同じような感覚を小説家たちも感じながら作品を発表していたとしたら、私のこれからの研究論文というものも、少し変わるかもしれません。なぜなら、研究論文というのが私の主戦場だからです。