2024/11/06
人文学部の日本・中国言語文学コースの尾崎千佳教授が令和6年度(第78回)芭蕉祭文部科学大臣賞を受賞され、10月30日に谷澤学長に受賞報告をしました。
この賞は令和5年4月1日から令和6年3月31日までに刊行された「連歌・俳諧・俳句」に係る著作を対象に選考されるもので、令和6年度は予選によって候補著作となった8点から、選考委員7名による査読・審議によって選考されました。
選考の結果、尾崎千佳著「西山宗因の研究」(2024年3月28日、八木書店刊)が最優秀著作に決定し、令和6年度(第78回)芭蕉祭式典(2024年10月12日)において表彰されました。
谷澤学長からは、長年の研究成果をまとめた著書は人文学部出版助成事業第1号に相応しいと称えられ、人文学部の研究がこれに続いて欲しいとの期待の言葉がありました。
≪芭蕉祭文部科学大臣賞≫
芭蕉祭は、毎年、松尾芭蕉(1644~94年)の命日にあたる10月12日に生誕地の三重県伊賀市の俳聖殿(同市上野丸之内)において開催
芭蕉翁献詠俳句の特選句とともに俳文学(連歌、俳諧、俳句など)のすぐれた研究書が表彰される
文部科学大臣賞は、伊賀市と芭蕉翁顕彰会の主催により、芭蕉顕彰事業の一環として、1954年度第8回芭蕉祭より始められ、2024年度までに66点の俳文学研究書が受賞
≪西山宗因の研究≫(A5判・上製・カバー装・704頁)
西山宗因(1605~82年)は、肥後八代(やつしろ)城主の家臣だったが、主家の肥後加藤家の改易で浪人し、その後連歌師になった。60代以降は俳諧師としても活躍し、芭蕉や西鶴に多大な影響を与えた。『西山宗因の研究』では、『西山宗因全集 第6巻』(2004~2017年、八木書店)に集成した資料を活用しつつ、浪人宗因が近世初期に「連歌師と俳諧という二つの立場に生きた」実態を明らかにした。
選考委員からは「西山宗因全集に編者として関わった著者」による「徹底した資料の収集とその客観的分析」が特に高く評価され、「宗因伝記研究の金字塔」とされた。