人文学部人文学科 欧米言語文学コース 英語学 藤原 慶樹 YOSHIKI Fujiwara
無意識に意識を!
分野 | 理論言語学:統語論、意味論、言語獲得論 |
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担当授業 (学部) |
時事英語 英語学特殊講義(意味論) 英語学演習(意味論) 英語学卒論基礎演習 英語史 英語学講読(意味論) 英語学卒論発展演習 |
担当授業 (研究科) |
英米語論演習(意味論) 英米語論(意味論) 英米語論演習(言語獲得論) |
主な研究内容
「人間と動物の最大の違いって何?」と考えると、言語(能力)というのが最もシンプルでありえそうな答えじゃないでしょうか。この答えをより具体にするために、私は「人間の言語能力は一体どのような構造をしているのか」ということを研究しています。とはいえ、言語能力というのは直接目に見えるものではないので、具体的には、日本語や他の言語の文法(統語論・意味論)を観察・分析することで私たちに備わっている言語能力の特性・性質を研究しています。
また、このような研究をする上で欠かせないのが言語獲得の観点です。赤ん坊は一定の環境に身を置けばどんな言語でも数年で容易に獲得することができます。世界中で起こっているこの事実を踏まえれば、どの言語における文法理論もまた容易に獲得できるようなものでなければなりません。この考えのもと、実際に幼稚園や保育園に訪れて、子どもが提唱されている文法理論や言語的特性を本当に獲得しているのかを調査したりしています。
学問のことなど
理論言語学は人間の脳にある言語機能を解明することが最大の目標です。アニメや映画に出てくるマッドサイエンティストなら脳を取り出し直接手に取るのでしょうが、幸い倫理観はそこまで狂っておらず、私も含めて理論言語学者はみな地道にコツコツと言語とにらめっこしています。ただ、マッドではないですがサイエンティストではあって、言語データの観察・分析、それに基づく仮説立て、新たなデータによる仮説検証、そして仮説修正を行い、日々(でもないけど)研究を行っています。
理論言語学という分野で面白いのは、研究対象が日々私たちが無意識的に使っている言語知識・言語能力であるというところ。言い換えれば、言語学の「答え」はすでに私たちの頭の中に存在しているということになります。そしてこの点において、学生と先生に違いはありません。大きな違いはというと、研究手法(「答え」までの道の作り方)を知っているかどうかです。無意識の中にある言語知識に意識を向ける。それを丁寧に行えばそれが研究になる。学生と先生との垣根が低い研究分野であるのが理論言語学の楽しいところだと思います。