大庭 明莉

人文学部人文学科 欧米言語文学コース 英語学 大庭 明莉

子どもや第二言語学習者の頭の中にある言語知識を一緒に探ってみませんか?

大庭 明莉

分野 第一言語獲得、第二言語獲得、心理言語学
担当授業
(学部)
担当授業
(研究科)

主な研究内容

私は、人間が言語知識をどのように獲得し、どのように運用しているのかを探ることを専門としています。私たちは、自分が日本語を母語としてどのように身につけたのかをほとんど覚えていませんが、第二言語として英語を学んできた過程を思い出すことはできるかもしれません。言語は、単に「周囲のことばを聞く」ことや「学校教育を通じて学ぶ」ことによって獲得したと思っていませんか?しかし、子どもや第二言語学習者が実際に持つ言語知識には、外部からの刺激だけでは説明できない側面が多く存在します。私は、学習者が実際に持つ言語知識と外的刺激とのギャップがどのように説明されうるのかに興味があり、大人の言語理論 (統語論や意味論など)で言われていることを元に、子どもや第二言語学習者がどのようにしてその理論に辿り着くのか、もしくは元々持って生まれてきたのかなどを研究しています。
研究手法としては、主に実際の子どもや第二言語学習者を対象にした実験を行うことが多いです。学習者の頭の中にある言語能力は直接見ることはできないので、実験を通じて間接的に見ることになるのですが、その際に学習者の持つ言語能力が最大限に引き出される実験手法を工夫して考える必要があり、この過程もとても楽しいです。
授業では、子どもや第二言語学習者がどのような言語知識や運用能力を持っているのか、一緒に観察しながら、その奥深さと不思議さに触れていきましょう!

学問のことなど

私はもともと児童文学に興味があり、時間があるときには自分で絵本を描くほどでした。そのため、進路を考える際には文学を学べる大学を選びました。ところが、その学部で必修だった言語学の授業で、子どもの発話エラーが理論言語学の理論を裏付ける証拠として使われている例に出会い、その論理の立て方の美しさに衝撃を受けました。そこから言語学のコースに進み、気づけば自分でも言語獲得の研究を行うようになっていました。
言語獲得という分野では、大人の母語話者が持つ知識を理論言語学の枠組みで仮定し、それをもとに子どもや第二言語学習者の知識を推測しながら、彼らの潜在的な知識を引き出すような実験を設計・実施します。このように、多角的に言語を探求できるのが、この分野の大きな魅力だと感じています。
また、実験を考える過程では、自分一人で最善の方法にたどり着くのは難しく、他の人たちとの議論を通じて形を整えていく必要があります。その意味で、言語獲得の研究は共同作業が重要な分野であり、教員と学生という立場の違いにかかわらず、フラットに意見を出し合いながら研究できる場でもあります。私自身も、皆さんと一緒に考え、議論しながら、新しい問いや知見を共有していけたらと思っています。

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