いつか先生と共著を出版したい!

郭さんの写真

山口大学独立大学院東アジア研究科1年
郭 鑫(かく しん)

私は中国の大連出身です。日本語の勉強を始めた東京で大学生生活を送りました。日本の「満州国」統治技術に関連する研究への関心を抱き、日本における総力戦体制研究及び政軍関係史研究の第一人者である纐纈厚教授の下で学ぶために山口大学人文科学研究科に進学しました。二年間の修士課程を経て現在は山口大学独立大学院東アジア研究科の博士課程1年生です。山口大学は東京と違って自然豊かで、かつ静謐な環境下にあり勉学に勤しむには優れた場所だと感じています。また、中国の近接地域ということもあり沢山の留学生が学び、留学生と日本人学生との交流も活発です。また、日本から積極的に留学する機会を見つけようとする学生さんたちも数多くいます。

私は纐纈教授の下で日中関係史を学んでいますが、山口は明治近代国家を創建した山県有朋や伊藤博文ら沢山の歴史上の人物を排出し、特に私が関心を抱いている大正期から昭和初期、また戦後においても田中義一、岸信介を始め重要人物を中央に送り出しています。そうした意味でも山口大学で学ぶ付加価値のようなものが実に多くあります。それで日本近現代史をも重要な研究課題としている私にとって、明治維新の発祥地であった山口は、理想的な研究「基地」と言えます。さらに、山口大学の中央図書館や東亜研究所図書館を始め、県立図書館、県立公文書館などの施設は、この時代に関する資料が豊富です。また、他大学との連携による貸借事業も活発で、比較的簡単に資料が入手できます。

研究環境の点では自然環境の素晴らしさだけでなく、設備が充実した広い研究室があり、心おきなく勉学に集中できます。加えて、留学生の悩みの種である生活面でも奨学金が比較的得やすく、私もこの三年目を迎えた大学院生活のなかで二年間続けて奨学金を頂いています。加えてTA(ティーチング・アシスタント)やRA(リサーチ・アシスタント)などの制度もあり、生活し易い山口であればバイトに時間を割かれずに済むことも有り難いと思っています。けれども、この恵まれた環境を活かすのは自分自身だと強く自らに言い聞かせています。

私の所属する纐纈研究室は、先生が韓国、中国、台湾の大学で頻繁に講義や講演を担われていることもあり多くの留学生がいます。先生はアジア諸国でもこれまでに5冊もの著作を出版されていますが、同時に先生が会長を務められる「東アジア歴史文化学会」が創設されることになり、今後益々多くの研究者や留学生が山口大学を訪れることになります。私も先生と共同研究が出来るように努力し、いつかは先生と共著を日本と中国で出版したいと強く思っているところです。