2024オープンキャンパスに寄せて

今年もオープンキャンパス(以下OC)の季節がやってきました。人文学部は8/9(金)に開催を予定しており、多くの高校生のみなさんにお会いできることを楽しみにしています。

私が大学に入学した頃(1980年代終わり)、大学に実際に行くのは受験の時が初めてという人が多かったと思います。OCがいつから始まったのか、調べてみると言葉としては1988年の立命館大学で初めて使われており、それより以前に、受験生を対象とした大学内での進学相談会としては1978年に立教大学で開催されたものが最初であるようです[①]。現在のように国立大学も含めて全国の大学に広がったのは1990年代後半からではないでしょうか。

OCは、大学側にとっては魅力を伝えて多くの受験生に我が大学を選んでほしいというアピールの場であり、受験生にとっては希望する学びが得られる場所なのか確かめるという「見本市」のようなものといえるかもしれません。少子化の流れの中で、選ぶ側(受験生)と選ばれる側(大学)のようにOCが位置付けられてしまう面もありますが、「需要と供給」のような市場の図式で大学が理解されてしまうことに危惧も覚えます。

もちろん、受験生にとっては何が学べるのか、資格は取れるのか、就職はどうなのか、という「大学を出ることのメリット」を重視することも理解できます。しかし、本来、大学での学びとは、学問はもとより、多くの人々との出会いや様々な経験を通じて、その後の自分の人生を豊かにし、支えてくれる貴重なものなのではないでしょうか。

大学生活の楽しさや有意義さは単なる「メリット」以上に価値のあるものです。「見本市」としてのOCを十分に活用しつつ、受験生の皆さんにとって未来に向けた選択につながることを希望しています。山口大学人文学部には学生にとって楽しく、豊かな学びのお手伝いができる環境が常にあります。みなさんのお越しをお待ちしています。

人文学部長 速水聖子

[①] 小島理絵『オープンキャンパス考-上-「大学の何を伝えるか オープンキャンパスの成り立ち」 』 教育学術オンライン(日本私立大学協会)2010/5、第2402号

https://www.shidaikyo.or.jp/newspaper/online/2402/3_3.html