中元 さおり

人文学部人文学科 日本・中国言語文学コース 日本文学 中元 さおり NAKAMOTO Saori

文学を通して多様な感性や知と出会いましょう

分野 日本近現代文学
担当授業
(学部)
日本文学特殊講義(近現代)
日本文学基礎講読(近現代)
日本文学発展講読(近現代)
日本文学演習(近現代)
担当授業
(研究科)
日本文学論(近現代)
日本文学論演習(近現代文学研究)
日本文学論演習(近現代文学講読)

主な研究内容

戦後の代表的な作家である三島由紀夫の作品を中心に、戦後文学と時代との関わりについて研究をしています。作品が書かれた同時代の状況に目を向け、高度経済成長期の時代状況と作品との影響関係について考察しています。特に、高度成長期の文化や風俗にみられる新しい動きが文学とどのように作用しているのかを、三島文学を中心に据えて研究し、社会という枠組みにおける文学の存在意義を考えていきたいと思っています。
授業では、作品内の言葉ひとつひとつを大切にしながら文学の表現を味わう楽しさを共有していきます。また、どのような時代背景や文化の影響関係のなかで作品が生み出され読まれてきたのかという視点から、立体的に作品を捉えていきます。さらに、今の時代に生きる「私」たちと作品との接点についても議論していきたいと思っています。

学問のことなど

大学では、文学作品を読む楽しさを授業で発見しました。「おもしろい小説だったな」「なんだかよく分からない作品だったな」といった素朴な感想から出発し、その「おもしろさ」や「分からなさ」の正体を探ろうと作品の表現や背景、また作者について調べていくうちに、自分の素朴な感想がもっと具体的でクリアなものへと変わっていく楽しさを体験しました。また、授業のなかで友人や先生の考えを聞くことで、別の視点を教えてもらうことも多くありました。一つの作品でも解釈の仕方はバラエティに富み、そこに読む人の感性や思想が溶け込んでいると気づいたことは、文学研究の楽しさの一端を味わったといえるでしょうか。大学を卒業してしばらくは、地域の文化活動を支援する仕事に携わりました。日常にしっかりと根をおろした地道な文化活動が各地で継承されていることを知り、改めて目を開かされる体験となりました。その後、文学研究の楽しさを再び味わいたいと思い、大学院に進みました。本格的な文学研究はもちろん楽しいだけではなく、数多くの文献にあたり思考を論理的に精錬させていくという厳しさもあります。しかし、それは常に自分の思考をアップデートしていくという刺激的な営為でもあります。一つの文学作品でも、読み解く視点は多様です。登場人物のキャラクター性や表現の巧みさに感心したり、作者の問題意識について興味を持ったり、または他作品との類似や差異に気づいたり、映画化されたものとの比較や同時代の文化や思潮の流れのなかで考えてみたり…。多面的な魅力をもつ文学を読み解く鍵は、作品を取り巻く文化や社会のネットワークのなかにも存在します。人間や社会の仕組みが文学に織り込まれていることに気づくと、文学作品はまた別の顔を私たちに見せてくれます。一緒に文学研究の扉を開けて、広大で刺激的な知の世界をのぞいてみませんか。

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