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G 乾 秀行

  • 2017-08-04 (Fri)
  • 【ゼミ】

おまけの各国料理対決

言語情報学演習ではひとり一言語を担当して、言語構造を調べて発表します。期末レポートを提出して、最後に文章の暗唱テストを受けます。
この暗唱テキストですが、マイナーな言語が多いので、テキスト探しも一苦労となります。テキストが見つかったら、単語毎に文法の注釈を付けていきます。この作業が結構大変なのですが、一番力がつきます。オランダ語、スワヒリ語、アイヌ語は日本語のテキストから適当な長さのものを見つけましたが、ヘブライ語、ハウサ語、アムハラ語、チェコ語はネットから「北風と太陽」の音源、一方サモア語、ロシア語、フィンランド語はyoutubeから動画です。特にロシア語とフィンランド語は「アナと雪の女王」のLet it goから拝借で、音楽にあわせて気分良く歌います。それぞれ徹夜して覚えたようで、全員みごと合格でした。
おまけは、恒例の各国料理対決です。ネットにあるレシピを参考に、食材探し。ふだん料理をしない学生も孤軍奮闘です。毎年結構リスキーなものが出てくるのですが、今年はいつもよりできが良く、どれもとてもおいしかったです。

本日のメニュー

本日のメニュー


料理名(国・地域・民族)ー日本語による説明
シャクシャカ(イスラエル)ートマトスープ
クネドリーキ(チェコ)ー茹でパン
カーリキ(ニジェール)ークスクスヨーグルト
オカ(サモア)ー生魚ココナッツミルクサラダ
ドロワット(エチオピア)ー鶏肉の煮込み
ルイベ(アイヌ)ー冷凍サーモン
ヒュッツポット(オランダ)ー野菜のつぶし煮
ビーフストロガノフ(ロシア)ー牛肉煮
ヨウルトウットゥ(フィンランド)ークリスマスタルト
ピラウ(タンザニア)ーピラフ
料理全品

料理全品

シャクシャカ

シャクシャカ


クネドリーキ

クネドリーキ


カーリキ(ニジェール)

カーリキ(ニジェール)

オカ(サモア)

オカ(サモア)

ドロワット

ドロワット


ルイベ

ルイベ


ヒュッツポット

ヒュッツポット


ビーフストロガノフ

ビーフストロガノフ


クリスマスタルト

クリスマスタルト


ピラウ

ピラウ

  • 2017-03-22 (Wed)
  • 【教育】

言語学分野に進む人のために

言語学分野に進む人のために

言語学分野は、旧言語情報学コースの教員2名(フィリップス、乾)により組織され、ヒトの言語一般に関して興味のある人のための分野です。組織上、欧米言語文学コース内に入っていますけれども、日本語や英語、初習外国語(ドイツ語、フランス語、中国語)といった特定の個別言語に固執することなく、もちろん欧米の言語に限定されることもなく、言語であれば日本の方言でも世界のマイナー言語でも何語を研究対象にしてもかまいません。また1つの言語に絞られることなく、複数の言語を比較したり、世界言語全体を見ながら類型論的な研究をすることもできます。もう一つの特徴は、フィールドワークです。現地調査(国内外)を通して、生身の人間に関わることが言語研究の楽しみの1つとなります。

29年度に私が2年生対象に担当する授業です。詳しくはシラバスを見てください。

分野入門
分野入門として、以下の3つがあります。特に『言語学概論』は最も基本的な話をしますので、2年生のうちに2つとも取っておいてください。

『言語学概論(音韻・形態・統語)』(後期)
言語学の主要分野を概観すると同時に、言語学で使う用語について解説します。この授業では言語学の歴史、音声学(言語音の出し方など)、音韻論(音のしくみ)、形態論(形のしくみ)、統語論(文のしくみ)についてお話しします(1年生から取れます)。

『言語学概論(意味・類型・歴史)』(前期)
言語学の主要分野を概観すると同時に、言語学で使う用語について解説します。この授業では意味論(語の意味、文の意味)、類型論(言語のタイプ分け)、歴史言語学(言語の歴史、系統)についてお話しします。

『言語類型論』(後期)
世界言語の類型的特徴を取り上げながら、言語普遍性や歴史言語学について考えていきます。少し専門性が高くなるので、言語学分野の先取り履修的な意味合いがあります。

リテラシー科目
『音声学』(前期)
ヒトの言語音の出し方、子音・母音の聞き取り、アクセントの記述、音声表記法など、言語研究には欠かせない技術を身につけるための授業です。言語学分野に進む人はもちろん、言語系の分野に進む人も取っておくべきですね。

『情報処理(言語情報)』(前期)
TeX(テフあるいはテック)を使って様々な言語の文字入力や論文作成法を学ぶ授業です。パソコンの得意な人だけでなく苦手な人であっても、慣れればワードを使った論文作成よりはるかに効率よく論理的にレポート・論文が書けるようになります。言語学分野で卒業論文を書くなら取ってください。

『言語と人間』(前期)
29年度は担当します。言語学の基礎を身につけるというより、身の回りにある言語現象を観察することを通して、広く言語学に興味を持ってもらうための授業です。

* 意味論あるいは言語処理のプログラミングに興味のある人は、フィリップス先生が開講されるリテラシー科目(実習系)の『論理』および『論理プログラミング』についても受講するといいでしょう。

  • 2017-02-16 (Thu)
  • 【ゼミ】

卒論発表会

2月13日(月)に言語情報学コースの卒論発表会があり、8人が発表(論文提出者は12名)しました。2,3年生併せて約40名が参加し、終日活発な議論がされました。総評としては、今年はよく頑張った卒論が多かったように思います。発表者のタイトルの一覧です。

「済州語の語彙変容に関する動態的研究~危機言語の実態調査~」(乾ゼミ)
「スイスドイツ語とドイツ語標準語の比較研究~理解を妨げる要素の追求~」(ジョンゼミ)
「世界言語の空間指示表現~指示詞体系の類型化と普遍性~」(乾ゼミ)
「日本手話における人称標示の出現パターンと統語分析」(乾ゼミ)
「動詞人称標示のタイプとその機能」(乾ゼミ)
「教科書に掲載される音楽用語の変化」(ジョンゼミ)
「名詞の総称性から特定性へのストラテジー~性・数・形状からの類型論的考察~」(乾ゼミ)
「動作の多回性指標に関する通言語的考察~語彙アスペクトからのアプローチ~」(乾ゼミ)

  • 2012-07-01 (Sun)
  • 【研究】

ECOな人びと(文:乾 秀行)

言語学者と一言で言っても、いろいろなタイプがあります。研究室の机に座って、理論的に言語構造を解明している人もいれば、言語音を機械にかけてみて実証的に分析している人もいます。しかし研究室にじっとしているのが性に合わなくて、フィールドワークというものをしている人もいます。私が最近やっているのは、そういうタイプの言語学です。毎年アフリカのエチオピアに出かけて行って、少数民族の言語の記述調査をしています。

今はインターネットが普及し、「イッテQ!」のようにわざわざ危険な目に遭わなくても、涼しいエアコンが効いた研究室でパソコンに向かってネット検索している方が効果的に言語データを集められるようになりました。逆にエチオピアに行けば、一日8時間以上舗装されていない道を車で移動したり、一日中炎天下を歩き回ることは常のことです。昼間灼熱の暑さに耐えた身体は、夜になると今度は忍び寄るマラリア蚊から守らなければなりません。現地の人にとって高級ホテルと思われる宿泊施設に泊まったとしても、水が何日も使えなかったり電気が来なかったりします。ましてや宿泊施設もないような小さな村に訪れたならば、完全なサバイバル生活になってしまいます。トイレットペーパー片手に茂みで用を足していると、突然牛が現れて「モォー」と啼かれてあやうく体勢を崩しそうになります。それでもなぜフィールドワークに出かけるのかと問われたら、登山家が「そこに山があるから」と答えたのと同じく、「そこに人がいるから」なのでしょうか。人間と切り離して、言語だけを研究対象にするのであれば、研究室にいてもできますが、「どこで、どのように」使われているかは、現場に行かないとよく解りません。

具体例として、汚い話で恐縮ですが、エチオピアで現在調査している言語の「うんこ」を用いて少し説明してみましょう(こういう話は学生の食いつきがいいものです。授業中ウトウトしていた学生も、急に起き上がったりします。)。バスケト語(エチオピア南西部で話されている少数言語)で人間、犬、猫、鶏がする「うんこ」は「シージャ」と言い、「うんこする」という動詞は名詞から派生させて「シッイレ」と言います。それに対して牛の「うんこ」は「チョーラ」、ヤギや羊だと「ベツァ」と使い分けます。牛が「うんこする」は、「落とす」という意味の動詞を使って「トンギレ」と言いますが、ヤギや羊の場合には、やはり「ベツァ」から派生させた動詞「ベツィレ」を使います。「チョーラ」や「ベツァ」は、手で触っても汚いという意識が彼らには全くありません。それに対して我々人間どもが排出する「シージャ」は彼らにとっても汚いもので、決して手で触ったりしません。臭いんですね。なぜこのような区別をするかと言えば、利用価値があるかどうかの差なのです。牛の「うんこ」である「チョーラ」は牛が落としたばかりの「とれとれ」の濡れている状態のものが良く、乾いてしまうと利用価値がなくなります。新鮮さが命ですね。というのも「チョーラ」は家の壁面の隙間を埋めたり床を平らにするために使うからです。さしずめセメントの役割をしているのですね。またヤギや羊の「うんこ」である「ベツァ」は肥料として使うので、手で拾って集めて回ります。おそらく類似の例は世界各地で暮らしている少数民族が今も行っている普通の人間の営みなのでしょう。世界の人びとは皆「ECO」に暮らしているのですね。

ところで彼らの言語には「上下左右」はありますが、「東西南北」に当たることばがありません。山岳地帯に暮らす彼らにとって、方角は日常生活で重要でなく、「上に行く」や「下に行く」や「あっちに行く」で事が済んでしまいます。これも現場に行ってみないと解らないことです。碁盤の目のように道が整備された京都の町並みなど彼らには全く想像できない世界です。したがって彼らに「東入る(ヒガシイル)」「西入る(ニシイル)」「(北に)上る(アガル)」「(南に)下る(サガル)」のような住所があることを説明するのは至難の業ですね。

結局のところ、フィールドワークをするということは、自分自身の生活を顧みることに繋がるようです。異なる文化に触れることが自分自身の生き方を大きく揺さぶるものであり、非文明的と思われている地域にこそ、人間本来の生き方があるのかもしれません。

一応言語学を専門にしていますが、人間の生活に関わる研究というのが、机上の言語のパズル解きよりも、私にとっては遙かに楽しい時間です。現地に行くと、もちろん彼らと大喧嘩もしますが、その一方でとても穏やかな気持ちになり、気がつくとよく笑っています。

Basketo

バスケト人の家に塗られる「チョーラ」

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乾 秀行

いろいろな言語に触れてみませんか?異文化理解は、世界言語の多様性を知ることから始まります。

【コース】

欧米言語文学コース

【分野】

言語学

【研究領域】

言語類型論・エチオピア諸語の記述研究

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