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研究の今

  • 2015-09-30 (Wed)
  •  【研究推進室】

教員著書刊行情報

哲学・思想コース担当 村上龍准教授が翻訳にかかわった図書が刊行されました。

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西村清和編・監訳 分析美学基本論文集

<書籍データ>
* 単行本: 445ページ
* 出版社: 勁草書房 (2015/8/30)
* 言語: 日本語
* ISBN: 9784326800568

<訳者からひとこと>

 さいしょに,タイトルにふくまれたいくつかの言葉について,補足いたします。「美学」とは,芸術をはじめ,ひろく美や感性にかかわる事柄を対象とした,哲学の一分野を指します。そして,「分析美学」とは,20世紀後半から現在にわたって英語圏を中心にみとめられる,「美学」の一定の潮流を意味します。この「分析美学」のなかでとくに重要と見做されているいくつかの議論の端緒をひらいた,その意味で「基本」的な英語論文9本を独自にピックアップし,邦訳したのが,本書というわけです。
 そういう次第ですので,本書は,上述の<「分析美学」のなかでとくに重要と見做されている議論>ごとに4つの章に,すなわち,第1章 「芸術」の定義,第2章 美的価値,第3章 作品の意味と解釈,第4章 フィクションの経験に,分節されています。それぞれの章,および収録論文について,この場で詳細に説明する余裕はありませんが,たとえば,第1章には,巷に流通する家庭用洗剤の箱と外見上,寸分たがわぬアンディ・ウォーホルの作品≪ブリロ・ボックス≫に触発されて,「何かが芸術作品であるための条件」について考察した,アーサー・ダントーの「アートワールド」が収録されています。また,第4章には,およそ芸術鑑賞を「何かを別のものに見立てる<ごっこあそび>」として位置づけたうえで,「現実に遭遇すれば目を背けたくなるもの(醜いもの,恐ろしいもの,悲劇)を,ひとはなぜ,劇場においてならば喜びとともに見ることができるのか」という,古来の美学上のアポリアに果敢にいどんだ,ケンダル・ウォルトンの「フィクションを怖がる」が収録されています。
 「分析」的潮流の全般的傾向としては,誰しもがふと疑問に思うであろう身近なテーマの選択,論理的に厳密な議論の運びと曖昧さの排除,などを指摘することができ,本書に収録された諸論文も,そうした傾向を共有しています。後者の特徴は,ともすればとっつきにくい印象を与えるかもしれませんが,これは裏を返せば,道筋さえ見失わないかぎり,誰もが議論を明瞭に理解できるということでもあります。また,議論を厳密に運ぶなかでしばしば登場する,特殊な状況設定下の「思考実験」も,「分析」的潮流にふれるさいの楽しみのひとつです。
 狭い意味での哲学分野における「分析」的潮流は,久しい以前から邦訳等をつうじて日本に紹介されており,また,そうした潮流に掉さした日本人研究者による独自の良質な仕事も,たくさん世に問われています。この活況に比して、広い意味での哲学の一角を占める「美学」分野は,残念ながら,現状においてずいぶん遅れをとっています。本書の刊行は,この遅れをとり戻すうえで,極めて重要な意味をもっています。芸術に関心をよせる,可能なかぎり多くの方々に,ぜひとも本書を手に取ってもらいたいと願っています。(村上龍)

  • 2015-09-14 (Mon)
  •  【研究推進室】

教員著書刊行情報

日本語学・日本文学コース担当 平野芳信教授が執筆にかかわった図書が刊行されました。

谷崎潤一郎全集 第13巻 黒白、卍(まんじ)ほか 2015年8月

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<書籍データ>
* 四六判上製・函入り: 559ページ
* 出版社: 中央公論新社(2015/08/06)
* 言語: 日本語
* ISBN: 9784124035735

<筆者からひとこと>
 本書は、日本近代文学界における文豪の一人谷崎潤一郎の没後50年と中央公論新社創業130年を記念して、四半世紀ぶりに編纂された「決定版全集」の一巻であり、私は「解題」を担当致しました。
 文豪という評価に恥じず、谷崎潤一郎の全集(選集)はこれまで7種類あります。しかし、今回「決定版」と銘打ったのは、これまで一度も付されたことがなかった「解題」を、谷崎研究者20余名が分担執筆したことに由来します。
 「解題」は、大まかにいうと収録された小説やエッセイの来歴、発表経緯等の書誌的事実を詳述した後、27年前に編まれた直近の「愛読愛蔵版全集」を「底本」とし、雑誌や新聞に初めて発表された「初出文」と最初に単行本に収められた「初刊文」の3種類の本文を比較し、その表現上の異同を「校異」として示したものです。
 私が担当した第13巻は、芥川龍之介との間で有名な「小説の筋論争」を惹起した『日本におけるクリツプン事件』や代表作『卍』を含む小説が4篇、単行本初収録の2篇を含む14篇のエッセイ等、さらには『卍』の雑誌「改造」掲載初出文(「その一」〜「その十四」)で構成されています。
 『卍』という小説は、日本だけではなく海外でも何度か映画化された人口に膾炙した作品ですが、実は雑誌に最初に発表されたものと現在文庫本や単行本で読むことができるものの間には、かなりの相違があります。
 一般によく知られている『卍』といえば、語り手が関西弁で自分の過去を語りかけるという体裁をとったものですが、最初に「改造」という雑誌に発表された時点では、共通語が使われていたのです。しかも、連載が進むに従って、少しずつ関西言葉が流入しはじめ、単行本化に際して、全体が関西言葉で書き換えらえたという興味深い成立過程をもつ作品なのです。
 興味深いという表現を使いましたが、その過程を「校異」としてまとめる今回の作業は、正直なところ、もう二度とこのような経験はしたくないといっても過言ではないほど困難なものでした。これまで、「校異」が作成されなかった理由がよく分かりました。
 同じようなことは『黒白』(「こくびゃく」と読みます。)にもいえます。この小説は「大阪朝日新聞」と「東京朝日新聞」に連載された、いわゆる新聞小説なのですが、なんと「大阪」版と「東京」版で表現や表記が微妙に異なるのです。その「校異」を示す作業も一種の苦行以外のなにものでもありませんでした。
 いまは、私の担当した第13巻が無事に出版されたということに、喜びよりも安堵の気持ちの方が強いのです。
 何年後になるのか分かりませんが、次に谷崎潤一郎全集が刊行されるときは、もう紙に印刷するという形態ではなく、ネット上の電子媒体になっていると予想されます。図書館等で、決定版谷崎潤一郎全集を眼にされた方は、是非一度手にとってお読み戴きたいと思います。

  • 2015-05-25 (Mon)
  •  【研究推進室】

ルーマニア・日本製塩国際研究交流会

塩は我々にとって必要不可欠な物質であり、人類史的に重要性が認識されてきた。しかし、製塩の歴史的な発展、塩の用途には未解明の部分が多く、地域間の比較や民俗・民族例などによって理解を深める必要がある。今回の研究交流会では、塩資源の豊富なルーマニアより研究者をお迎えし、日本の事例との比較を通じ、製塩の社会的意義について討議する。

日時  : 2015年5月29日(金) 16:10~18:00

会場  : 山口大学人文学部 講義室未定(お問い合せ下さい)

使用言語: 英語

コーディネーター: 川島尚宗(山口大学埋蔵文化財資料館)

プログラム

1.開会挨拶・趣旨説明

2.日本における製塩の歴史 川島尚宗(山口大学埋蔵文化財資料館)

3.ルーマニアにおける製塩の民俗考古学的研究について

マリウス・アレクシアヌ(ヤシ大学、ルーマニア)、

ロクサナ・クルカ(ヤシ大学、ルーマニア)

4.発表タイトル未定

田中晋作(山口大学人文学部)

5.閉会挨拶

<問い合わせ先>

川島尚宗  (山口大学埋蔵文化財資料館)

TEL  :083-933-5035

E-mail:takamune@yamaguchi-u.ac.jp

Romania-Japan International Seminar on Salt Studies

29 May 2015

Faculty of Humanities, Yamaguchi University

Yamaguchi, Japan

1. Opening and Greetings

2. Outline of salt production in Japan

Takamune KAWASHIMA (Yamaguchi University, Japan)

3. Ethno-archaeological project on salt

Marius-Tiberiu ALEXIANU, Roxana-Gabriela CURCĂ

(“Alexandru Ioan Cuza” University of Iasi, Romania)

4. The development of salt industry during the state formation period

Shinsaku TANAKA (Yamaguchi University, Japan)

  • 2015-04-16 (Thu)
  •  【文学会】

文学会志第65巻(平成27年3月)を発行しました

『山口大學文學會志』 第65巻を平成27年3月16日付けで発行しました。

目次

日本における聖諭宣講の受容…………………阿部泰記

秦上林苑における構造とその性格についての研究―秦簡禁苑律による新視点からの探索― …………………馬彪

周防国氷上山興隆寺の旧境内とその堂舎配置…………………真木隆行

沖縄県における原発事故避難者と支援ネットワークの研究2~定住者・近地避難者との比較調査…………………高橋征仁

市民活動団体の現状と市民活動支援の制度化に関する考察―山口県周南市を事例として―…………………速水聖子

列挙・例示の書き表し方について…………………林伸一

長崎県対馬市士富採集の打製石斧…………………川島尚宗

本号掲載の論文も、YUNOCA(山口大学学術機関リポジトリ)で、近日中にインターネット公開の予定です。

  • 2015-03-07 (Sat)
  •  【研究推進室】

山口大学研究推進体公開シンポジウム「大規模災害の教訓をどう生かすのか?」の開催

今年は、阪神・淡路大震災からちょうど20年目の節目にあたります。1月には各地でメモリアルイベントが行われ、大災害の経験と教訓を忘れることなく、地域や世代に伝え続けていくことの大切さが唱えられました。しかしながら、災害の経験や教訓を伝え続けることは容易ではありません。東日本大震災にしても、2万人近い人が亡くなり、今なお20万人以上の人々が避難生活を送っているにもかかわらず、この4年間で意識の風化が急速に進んでいます。しかし、経験から学び伝えなければ、私たちは、また近い将来、同じ失敗を繰り返すことになるかもしれません。
この公開シンポジウムでは、4名の先生を講師としてお迎えして、過去の大規模災害からの教訓とその生かし方について、これまでの事例をもとにお話いただきます。そして、次の大規模災害に対する備えや支援のあり方について、地域住民を交えて議論したいと考えています。

日 時 :2015年3月9日(月)13:00~16:40
場 所 :山口大学吉田キャンパス 人文学部小講義室(入場無料)
主 催 :山口大学研究推進体<東日本大震災における避難者のリスク意識と社会的ネットワークに関する比較研究>
共 催 :山口大学人文学部、山口地域社会学会

プログラム:
(13:00~14:30)
開会の挨拶
1.災害情報と対応行動―大規模災害からの教訓
田中 淳 先生(東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター教授・同センター長)
2.中山間地における豪雨時の人の避難行動について
橋本 晴行 先生(九州大学大学院工学研究院附属アジア防災研究センター教授)

【休憩 10分】

(14:40~16:00)
3.従前地域へ戻ること・地域再生の難しさ-阪神・淡路大震災と東日本大震災の被災地から-
宮定 章 先生(認定NPO法人 まち・コミュニケーション代表理事)
4.2014年チリ北部地震(M8.2)による津波避難のアンケート調査について
村上ひとみ先生(山口大学工学部)

【休憩 10分】

(16:10~16:40)
5.全体討論:大規模災害の教訓をどう生かすのか?
閉会の挨拶

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問い合わせ先:山口大学人文学部 高橋征仁
TEL  :083-933-5243
E-mail:takahasi@yamaguchi-u.ac.jp
—————————————————————-

  • 2015-03-07 (Sat)
  •  【研究推進室】

国際シンポジウム「高尚文学と通俗文学」 ~文化的横断・メディア的横断の視点からの再検討〜  研究発表会と公開講演の開催

国際シンポジウム「高尚文学と通俗文学」
文化的横断・メディア的横断の視点からの再検討

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<趣旨>
文学はどのように評価されるのか。作品や作家にたいする見方は時代や文化によって大きく変化し、文学は翻訳やアダプテーション、解釈や改作、言語や文化圏によってきわめて多様な姿を見せています。
本国際シンポジウムはこの変容のダイナミクスに迫り、ヨーロッパや日本など10カ国から集まった文学研究者が、文学評価の仕組みを様々な角度から議論していきます。文学は文化・言語・メディアや時代を超えた人間文化の表現形式であり、それは「グローバル」と言われる今の時代にこそ注目し再評価すべきものです。

研究発表会の使用言語は英語とドイツ語ですが、公開講演は日本語、あるいは日本語通訳付きで行います。ご関心のある方々のご参加をお待ちしております。

<全日程概要>
日 時 : 平成27年3月26日(木) 14:00 ~ 平成27年3月28日(土) 13:00
場 所 : 山口大学大学会館
対 象 : 市民、学生、教職員
事前申込: 不要
参加費 : 無料

<公開講演>
日 時 : 第1部:平成27年3月26日(木) 14:20~15:40
第2部:平成27年3月27日(金) 16:10~17:30
場 所 : 山口大学大学会館 大会議室(2階)
対 象 : 市民、学生、教職員
事前申込: 不要
参加費 : 無料

プログラム:
第1部 : 平成27年3月26日(木) 14:20~15:40
ドイツ・ボーフム大学 モニカ・シュミッツ=エマンス 教授
「規範的文学作品とそのグラフィック的再現 ・一般的考察と事例」
高尚文学の作品はいかにしてコミックスに生まれ変わるのか。スターンの『トリストラム・シャンディ』や、ロマン派で最初の推理小説といわれるホフマンの『スキュデリ嬢』がコミックスに変身する様が、豊富な視覚資料を用いて示される。講演は日本語通訳付きのドイツ語で行われます。

第2部 : 平成27年3月27日(金) 16:10~17:30
山口大学人文学部 平野 芳信 教授
「村上春樹 その評価をめぐって」
文学賞の候補者、村上春樹が芥川賞を逃した背景には、文学への評価をめぐるドラマが潜んでいる。

<全日程詳細>
国際シンポジウム「高尚文学と通俗文学」
文化的横断・メディア的横断の視点からの再検討

会場:山口大学大学会館(公開講演は大会議室・研究発表はセクション別)

平成27年3月26日(木)
13:30 – 14:00 受付
14:00 – 14:20 歓迎の挨拶
14:20 – 15:40 公開講演
「規範的文学作品とそのグラフィック的再現・一般的考察と事例」
モニカ・シュミッツ=エマンス教授(ドイツ・ボーフム大学)
15:40 – 16:00 ディスカッション
16:30 – 17:50 研究発表
第1セクション:大会議室
「詩作とモチーフにおける越境」
第2セクション:第2集会室
「民族アイデンティティーの表現形式」
第3セクション:セミナー室
「演劇における詩学と変容」

平成27年3月27日(金)
9:30 – 12:30 研究発表
第4セクション:大会議室
「翻訳に反映された高尚と通俗」
第5セクション:第2集会室
「文学と映画」
第6セクション:セミナー室
「グラフィック・ノヴェル」
14:00 – 15:50 研究発表
第7セクション:第2集会室
「教育と娯楽の間:教科書、推理小説、テレビ」
第8セクション:セミナー室
「映画化と規範的文学作品」
16:10 – 17:30 公開講演
「村上春樹 その評価をめぐって」
平野 芳信 教授(山口大学人文学部)
17:30 – 17:50 ディスカッション

平成27年3月28日(土)
9:00 – 10:50 研究発表
第9セクション:第2集会室
「文学的評価の詩学的考察」
第10セクション:セミナー室
「ジャンルの変更」
11:15 – 11:45 ディスカッション
11:50 – 12:50 狂言(日本伝統芸能)
12:50 – 13:00 閉会の辞

<カラーチラシ>
詳細はこちらのURLよりご確認ください。
http://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~emde/YamaguchiProgram_150223.pdf

<開催要項>
この記事の内容についてのMS-Wordファイルはこちらからダウンロード出来ます

【問い合わせ先】
人文学部ヨーロッパ言語・文学コース エムデ研究室
TEL:083-933-5287
E-mail: emde@yamaguchi-u.ac.jp

  • 2015-02-15 (Sun)
  •  【研究推進室】

教員著作刊行情報

日本語学・日本文学コース担当 平野芳信教授が寄稿した雑誌が刊行されました。

MetRO MiN. N0.143
メトロミニッツ10月号
2014年9月20日発行 第12巻9号通巻143号
スターツ出版株式会社発行

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↑ 上の画像は、掲載内容の一部です。画像のクリックで、 掲載内容全体のJPEGファイルの閲覧またはダウンロードが出来ます。

  • 2014-12-03 (Wed)
  •  【研究推進室】

第11回 古代武器研究会の開催

下記要領で,第11回 古代武器研究会を開催します。
どなたでも参加できます。
ふるってご参加ください。

      第11回 古代武器研究会

日 時 2014年12月13日(土)13:50~18:00
          14日(日) 9:00~15:00
会 場 山口大学大学会館〔吉田キャンパス〕
主 催 古代武器研究会・山口大学人文学部考古学研究室
参加費 無料(資料代実費)

〈連絡先〉
〒753-8540
山口市吉田 1677-1  山口大学人文学部 田中 晋作
TEL. 083-933-5238
E-mail s-tanaka@yamaguchi-u.ac.jp

詳しくは↓チラシPDFをご覧ください。
第11回古代武器研究会チラシ

  • 2014-11-11 (Tue)
  •  【異文化交流研究施設】

人文学部異文化交流研究施設第28回講演会のお知らせ

講演者:来村多加史氏(阪南大学国際観光学部教授)

演題:キトラ・高松塚壁画のメッセージを解く

日時:2014年11月18日(火)16:30~18:00

場所:山口大学共通教育棟23番教室

主催:山口大学人文学部異文化交流研究施設

※入場無料。事前申し込みも不要です。

山口大学の学生や教職員はもちろん、市民のみなさまのご参加もお待ちしています。

詳しい講演内容などは、ポスターをご参照ください。

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  • 2014-08-05 (Tue)
  •  【研究推進室】

教員著書刊行情報

歴史学コース担当 南雲泰輔講師が翻訳した図書が刊行されました。

ブライアン・ウォード=パーキンズ著/南雲泰輔訳
ローマ帝国の崩壊: 文明が終わるということ 2014年6月

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ジャケットデザインにダイナミズムを感じるので見開きで掲載します。(↑)
帯付きだとこんな感じです。(↓)
nagumo1408-300

<書籍データ>
* 単行本: 350ページ
* 出版社: 白水社 (2014/6/20)
* 言語: 日本語
* ISBN: 9784560083543

<訳者からひとこと>
 このたび白水社より刊行された,ブライアン・ウォード=パーキンズ著『ローマ帝国の崩壊:文明が終わるということ』は,タイトルの示す通り,ローマ帝国の崩壊をひとつの文明の終焉とみて,歴史学・考古学の双方にわたって多様な史資料を活用しつつ叙述したものです。明快な筆致で,図版もたくさん含まれており,一般読者の方々にも面白く読んでいただける内容の書物であると思いますが,本書の特色は,私見では何よりも著者のスタンスが明示された「反論の書」だという点にあります。
 この「反論」が執筆されるに至った経緯をごく簡単に述べますと,1970年代以降,英米の歴史学界では,ピーター・ブラウンとウォルター・ゴッファートという二人の優れた研究者をそれぞれ主唱者として,ローマ衰亡とゲルマン民族の侵入について重要な見直しが提起されました。その結果,衰亡ではなく「変容」へ,侵入ではなく「順応」へと,学界の潮流が大きく変化したのです。これらの新学説は,20世紀後半の支配的思潮とも結び付いて広く江湖の喝采を博しましたが,21世紀に入ると,それらが主張する楽観的な時代理解に対して厳しい批判が生じてきます。そのなかの一冊として,新学説に正面からの反論を企てたのが本書であり,これ以後,学界での議論は新たな段階へ移行することになりました。つまり本書は,ローマ帝国の衰亡をめぐる近年の学界動向のなかで,重要な役割を果たした書物と評価できると考えられます。
 ローマ帝国の衰亡は,歴史上のさまざまな国家や文明の「崩壊」のなかでもとりわけ多くの人々の興味を引くもののようで,これまでに実にさまざまな学説が提示されてきました。しかし,ローマ衰亡にかんする学説展開の歴史のなかで,上に簡単に触れた1970年代以降の動向は,それ自体が検討に値するほどの,独特で興味深い経過を示しているように思われます。なぜ20世紀後半にローマ衰亡を「変容」と,ゲルマン侵入を「順応」と読み替える研究者が出現したのか。なぜ21世紀に入ってそれに対する反論がなされたのか。本書を繙くことで,ローマ帝国の衰亡にまつわる諸問題はもとより,それらを扱う歴史学や考古学の研究者たちの営み,さらにはその背後にある現代という時代の変化についても考えていただければと思っております。

<Amazonでの本書の紹介文>
ローマ帝国末期にゲルマン民族が侵入してきたとき、ローマ社会や経済に何が起き、人々の暮らしはどう変化したのか。史学・考古学双方の研究を駆使して描く、激動の時代の実態。

ギボン『ローマ帝国衰亡史』以来長らく、ローマ帝国は衰亡し崩壊したというのが常識だった。ところが一九七〇年代以降、研究者のあいだでは、それまで主流だった政治・経済面を中心とした研究に対し、宗教や社会に着眼することで、「衰亡」とみなされてきた時代を独自の価値を持つ「古代末期」という新しいポジティヴな時代と捉え直す動きが起こった。さらに九〇年代になると、考古学的史料を用いて、ローマ帝国はやはりある時点で「崩壊」したのだという事実をつきつける研究者があらわれた。
著者ウォード=パーキンズもそのひとりであり、本書では、何がどう問題なのかというレベルからわかりやすく解説しつつ、「ゲルマン民族が侵入してきたとき、経済や社会に何が起き、人びとの暮らしはどう変化したのか」を、文献史料や陶器・家畜の骨・建築物(の跡)などを使い、史学・考古学双方の研究を駆使して描き出している。ローマ帝国の洗練された生産・流通システムがひとたび崩壊してしまうと、地域によっては先史時代の水準にまで後退し、回復には数世紀を要したという事実は、かなり衝撃的である。
英国ペンクラブのヘッセル=ティルトマン歴史賞受賞。

▼原題 THE FALL OF ROME: AND THE END OF CIVILIZATION

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